こんにちは!猫大好きnoramieです!
今日は、以前に書いた記事「高齢者と猫問題」について
実際に、経験したケースのお話をしようと思います。
よろしくお願いします。
最初の相談者
ある時期、とても猫問題の多い地域を重点的に
一年以上かけて、通いTNRしていた事がありました。
物価も安く、庶民的な町ではあるのですが
それ故に、誰しも野良猫問題関しては無頓着で
野良猫は増え続け、本当に頭の痛い事ばかりでした。
そんなある日、先輩ボランティアさんからTNRの
依頼が入りました。丁度、同じ地域だったので、引き受け
現場に向かうと、細い路地にある民家で、ご本人はお留守。
隣家に人がいたので尋ねると、どうやら親戚関係の様でした。
猫の事で…と言うと、途端に、いぶかし気な表情になったので
あ、これは何か、猫の事を良く思ってないな~と直ぐに感じ
黙って待つ事にしました。
しばらくすると、依頼者が帰って来て話を聞くと…
庭で餌を与えて、今までは自力で不妊手術をし、屋内にも多数
保護しているが、どうしても捕まらない猫が数匹いるので
捕獲を手伝って欲しいとの事でした。
高齢の一人暮らし女性でしたが、お元気でシャンとしており
庭猫の事で、近隣とのトラブルもあった様でしたが
その経緯も、こと細かく説明してくれました。
当時、その地域のとても近くで、野良猫の不妊手術をしてくれる
動物病院を紹介してもらったばかりで、たまたま、
その方も飼い猫の事で、お世話になったことがありました。
なので、捕獲さえしてくれれば、徒歩圏にあるその病院へ
自分で連れていける、術後のお迎えも出来ると言うので
その案件は、わりと楽で、数回通って終了しました。
もう一人の高齢者
それから、しばらくして、最初の相談者から連絡がありました。
同じ地域に住むの知人の家の庭でも、野良猫が繁殖して
しまっているみたいなので、また助けて欲しいと言う内容でした。
もう、この地域は次から次に…(-_-;)
とりあえず、住所を聞いて、一緒に活動していたボランティアさんと
下見に行きました。新しい建物に囲まれた、その家は、かなり古く
そこだけ、大昔にタイムスリップしたかのような時間の止まっている
みたいな空間で、手入れの行き届いていない庭や生け垣は鬱蒼としていて、
いかにも、小説になんか出て来そうな猫屋敷っぽい雰囲気を
かもし出していました。
何か怖いなぁ~と恐る恐る覗いていたら
急に、ガラッと窓が開いて「ひぃー!出たっ妖怪猫婆!」
ビクビクしていると、お婆さんは窓の下の、おそらく壊れて
使っていないであろう洗濯機の上に、新聞のチラシか何かを
広げて、キャットフードをザラザラと置き出しました。
すると、一匹また一匹と猫達が現れ、交代で勝手に食べていきます。
少し食べ終わり、落ち着くのを待ってから、門を開けて入り
窓越しから声をかけて、不妊手術の説明をしました。
お婆さんは、耳は遠かったけど、ボケてはおらず
その後、最初の依頼者に同行してもらい、立ち合いの元
TNRの計画や費用についての合意をすんなり了承してくれました。
その家は、かつて職人を使って何かの工場をしていた様で
玄関の奥には小さな裏庭と倉庫と従業員用のトイレなどが
ありました。勿論、そこもボロボロでしたが、丁度いい
猫の隠れ家になっていた様子でした。
猫自体は、10匹ちょっとでしたが、中々捕まらない子もいたりで
数週間通う事に…手伝ってくれたボランティアさんが、気遣って
猫用のお皿や餌を持ってきてくれたことがあったのですが…
ほどこしは不要・これは家の物でない、と言わんばかりに、
翌日、敷地外の道端に出されていたと言う…。
やはり、全くボケてはいないのだな。
お婆さんは、一人暮らしでお風呂も壊れたまま使っておらず
銭湯に通っていて、食事も一人なので買って来た物を適当に
食べて、簡単に済ませていた様でした。
ある時、夜遅くまで捕獲作業をしていると、ボランティアさんが
サンドイッチを差し入れてくれて、有難く食べていると
そのお宅の換気扇から、魚を焼く猛烈な煙が出て来て
もう何を食べているのか判らなくなるという事もありました。(=_=)
その後の結末
やっと、その現場が終わって、やれやれと思って
立て替えていた費用の明細をポストに入れておいたのですが
一向に連絡が来ないので、不安になって、最初の相談者さんに
聞いてみました。
相談者さんとお婆さんとは、小学校の同級生らしく、仲良しと言うか
遠慮のない感じで、結構キツい口調で話していました。
地元なので、親戚の事情も良く知っており、お婆さんの金銭の管理は
甥っ子さんがしているとか、近くにある豪邸に住んでいる親戚は
持っていた山で、たまたま資源価値の高い石を掘り当てた、とか
いらん情報まで教えてくれました。
あの人は、恩給(軍関係者などの遺族に支給される年金)を
貰っているはずだから、連休前におろしてきて払う様に
言っておいたわ、と何だか偉そうな…まぁ、自分が紹介した
手前、問題を起こされても困ると言った所だろうか。
で、お陰様で無事に費用は回収できたのだけど…。
その後も気になって、他の現場のついでだし
時々、様子を見に行ってました。
お婆さんは、大抵留守だったのだけど
不動産売却関係の通知の様なものが、戸に挟まっていたり
急に門に鍵をかけられて、出入りが出来なくなってしまったので
心配になって、相談者さんに連絡してみました。
どうやら、お婆さんは入院してしまい、代わりに猫達に
餌を与えに行っていた所、鍵をかけられたのだそうでした。
結局、お婆さんが家に帰ってくることはありませんでした。
家が取り壊されると聞いて、万が一、屋内に猫が取り残されていては
マズいと思い(あちこち確認しましたが、それは大丈夫でした。)
許可を得て、最後に、お宅に入った時、カレンダーが数ヶ月前のままで
めくられておらず、風呂場には、大きな大きな蜘蛛が巣喰っていました。
その時は、何とも言えない気持ちになったものです。
残された猫達は、移動し、その後も別の場所で相談者さんが
面倒を見てくれましたが、お婆さんの家は、あっという間に
真新しい建売に変貌していました。活動時に、ご苦労様と
声をかけてくれた隣人も、きっと清々しているのだろうな。
時代は変わっていくし、止められない。
餌やりの高齢者は、老害なのかもしれない。
だけど、ならば何故、周囲が手を貸して差し伸べてあげられないのか?
当時は、人にも猫にも、優しくない世間に憂いていました。
でも、これからは良い意味で変わって行って欲しいと切に願います。
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