なぜ多発する?多頭飼育崩壊問題

こんにちは!猫大好きnoramieです!
今日は、多頭飼育崩壊問題について考えたいと思います。

殺処分の運命を免れた猫達

まずは、10年位前に携わった多頭飼育崩壊の現場の
実際の体験から見たことや感じたことをお話します。

知り合いのボランティアさんから連絡が入り
ある老夫婦が、生活苦の為、転居する事になり、
現在の住居を退去しなければならなくなり
30匹位の猫を抱えていて、連れていけないので
困っていると言う相談でした。

そのボランティアさんは、その事件から遡る事6年程前に
公園の地域猫のお世話をしていたところ、声をかけられ
飼い猫の不妊手術の相談を受け、費用をお貸しした事があり
連絡先を渡していたそうです。その時も返済が遅くて不信感が
あり、以降は連絡を取っていませんでした。

規模が大きすぎる為、個人ボランティアでは解決できないと
判断し、愛護団体などを紹介したのですが、結局保健所に
連絡した様で、行政担当の視察が入り、個体の確認とセンターでの
殺処分の日取りが数日に分けて決まって行きました。

猫の多頭飼育崩壊 3

それに同行した動物愛護推進委員の方から、地元のNPO法人に
情報が入り、救出する方向で動くことになったので
私も協力する事になりました。

悲惨な現場と、その原因

準備を整えて現場へ行くと、予想以上の汚さと悪臭に驚きました。
こういうケースは、初めての経験だったので、どうすれば
こんな風になってしまうのか、そして、この不衛生極まりない環境で
平然と暮らしていけるのか、本当に理解に苦しみました。

飼い主である奥さんに、個体の状況確認をしながら、
慣れている子から順次確保していったのですが、その作業中にも
「どうせ死んだって構わないんだから、どれでもさっさと連れてって!」
と声を荒げられて、誰のせいでこんなことになってると思ってんだと
内心、怒りや憤りを覚えましたが、なんせ時間が無かったので
黙々とやるべきことを続けました。

匹数が多かったので、時間を作っては、何度か通う事になりました。
その中で、判ったことは、以前住んでいた場所でも猫を飼っていたという事
そして、猫を出入り自由にしていたので、近隣から苦情が出てしまい
引っ越してからは、一切外に出していなかったそうなんです。
当時、その同じ地域で、色々問題がある場所の対応をしていたので
その現場の近くも何度も通っていたはずなのに…なんで気が付かなかった?
と自問自答していた、その理由がやっと判りました。
その付近で、猫を見たことが無かったので
多頭飼育崩壊が発生していたなんて、夢にも思っていなかったのです。

猫の多頭飼育崩壊 1

そして、飼い主の老夫婦の寝室には、たぶん一人息子で
あろう方のご遺骨がポツンと置かれていました。
プライベートな事なので、あまり詳しく聞くことは
しませんでしたが、そこにも少なからず、こうなった
原因があったのではないだろうかと想像できました。

急な展開だったので、病院や保護場所を計画的に
押さえておらず、終始バタバタしましたが
最終的には全頭保護・搬送し、センター送りは中止され
住居の引っ越しにも何とか間に合いました。
最後の夜には、あんなに悪態をついていた奥さんも
手伝ってくれたボランティアさん達に飲み物を振舞い、
感謝の気持ちを表す程になっていました。

最初は、無謀な計画だと感じましたが、内情を見て行くうちに
本来なら、ここに居た、しかも慣れている子から順に
殺されて、もうこの世には存在しなくなっていたんだなぁと
考えると、何とも悲しくやるせない気持ちになりました。
そして、飼い主への嫌悪感や印象も変化していきました。

厳しい現実、そしてこれからは…

さて、これで、めでたしめでたしではありません。
当然ながら、保護した猫達のケアと里親探しには、
沢山の費用と協力が不可欠になります。
中には、身体状態の悪い子も、慣れ度の低い子もいたので
保護先で、亡くなってしまう場合もありましたし
なかなか貰い手が見つからない子達も居ました。

無理を言って、預かって貰ったりもしましたので
それが伸びれば伸びるほど、焦りと人間関係のギクシャクが
私を苦しめました。そんな中、半年が過ぎた頃
運良く、譲渡会で里親さんが決まった子もいました。

保護した時点で、既に推定7歳位とシニアでしたから
最近、預かりさんを通して、飼い主さんから
天寿を全うしたとの、お知らせがありましたが
とても愛され大事にされて、後半は幸せな猫生だったと思います。
本当にありがとうございました。_(_^_)_

猫の多頭飼育崩壊 2

実際、現場を体験して思ったのは…
確かに、これは動物虐待に当てはまるという事実です。
不衛生な密室で、沢山の動物を飼育しているのだから
餌を与えていようが、所有権があろうが犯罪だと思います。
かと言って、飼い主や当事者をバッシングするだけでは
何の解決にもならないです。勿論、愛護団体に任せておけば
何とかしてくれるなんて生易しいものでもありません。

動物愛護法違反であると共に、とても重大な社会問題である
ことも間違いないです。原因は様々だと思います。
不妊手術費用が出せなくて、過剰繁殖してしまう場合や
自身の飼育できる範疇を超えても、集め飼いたがる
精神的な疾患(いわゆるホーダー)もあるでしょう。
くしくも、また昨日事件が起こってしまった様ですが…(>_<)

本当に悪質な人や無責任な人も、残念ながら存在します。
しかし、社会的な孤立から、SOSを出せない人もいると思うし
ましてや、囲われた動物たちは、自ら助けを求める事さえ出来ず
いつも犠牲になってしまいます。そうなる前の予防策を考え、検討し
法規制や行政の在り方、対処方法の構築など、今の時代に適した方法を
見出していかなければ、また悲劇は繰り返されてしまいます。

起こってしまった事から、何を学んで、どう改善すべきなのか?
それぞれの立場から、具体的に考え直して見ることが、
何より重要で、最も大切な事だと、私は思います。

 

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