猫とホームレス ⑵

こんにちは!猫大好きnoramieです!
今日は、猫とホームレスさんのお話シリーズの2回目となります。

絵の上手なホームレスさん

当時、橋の下には沢山のホームレスさん達が住み着いていました。
最初に知り合った橋のたもとのホームレスのおばちゃんから
頼まれたのは、その橋の下の小屋に住んでいる
男性ホームレスさんの猫達の避妊去勢手術でした。

一度、三毛猫が出産してしまい、その時は5匹くらいで
みんな、おじさんには懐いていました。
当時、お世話になっていた愛護団体に相談し
手術日の予約をしてから、前日に小ケージを匹数分
運んでおき、それぞれ中に入れておいてねとお願いしました。

愛護団体の方が送迎してくれて、格安で処置もして貰えました。
術後、猫達の様子を見に行くと、みんな元気に回復しており
おじさんは、とても喜んで「本当に助かったよ、ありがとう。」
と言い、何もお礼が出来ないけど、と数枚の紙を渡してきました。
そこには、とても写実的なタッチで描かれた、美空ひばりさんなどの
鉛筆スケッチでした。聞けば、昔、映画の看板を描く仕事を
していたとの事で、なるほどー上手い訳だと感心したものです。

撤去命令と新しい環境

しばらくして、橋の耐震工事が始まるため
橋の下の不法建造物を撤去する様にとの命令が
管轄の行政と工事業者から貼り紙されました。

そこに住んでいたおじさんも必然的に退去せざる負えず
少し離れた川沿いに、集めて来た廃材で新しい小屋を
作り始めました。しかし猫達が、元の場所から
中々離れようとしないため、少しずつ餌場を
川方向へずらしていき移動させました。
徐々に工事は進んでいましたが、現場監督に
事情を説明し、猫達に危険の無い様に努めました。

猫とホームレス2-1

やっと新しい小屋に移動し落ち着いたおじさんと猫達でしたが
その後、おじさんは生活保護を受けて、近くの簡易旅館の様な場所に
住めることになり、毎日、猫達の世話に通う事になりました。
猫達の餌や住処の心配はなかったのですが、元々その辺りに居たり
流れてくる猫や野生動物などとの喧嘩で怪我をすることもあって
おじさんには、よく薬を頼まれて持って行きました。
ついでに、近辺を片付けたり、猫達に餌の差し入れしたり
寒い時は、使い捨てカイロなども、そっと置いていました。

たまに、おじさんに会える時もあったので
猫の話や世間話をしたりもしました。
ある日、いつもの様に小屋を訪ねると
1枚のメモに、
「○/○~○/○まで、検査入院の為、猫のお世話を頼みます。」
と、書かれていました。おじさんは酒飲みで、
どうやら体調を崩した様でした。そんな事が度々あり
その間は代わりに、毎日お世話に通っていました。

おじさんの引っ越しと猫達の運命

それから、おじさんは復活して元気になりました。
元々、自分のパトロール範囲外だったせいもあって
安心して、しばらく足が遠のいていました。
そんなある日、おじさんが声をかけて来て
住んでいた簡易旅館が老朽化の為、取り壊すことになり
福祉関係の人の紹介で、大分離れた場所のアパートに
引っ越すことになったと言う話でした。

しかも、お気に入りの猫を、知らない内に
一匹だけ簡易旅館に連れ込んでいたのでした。(-_-;)
かなり長期間、室内で暮らしていたその猫を
また元の場所に戻そうとしていました。
私は、何の相談も無しに勝手な事をするおじさんに
一瞬、腹を立てましたが、時の流れに翻弄される彼らに
全ての責任を負わせることは出来ないのだと悟りました。

その後、気になって、またその場所に通う様になりました。
引っ越しても、おじさんは時々来ている様子でした。
ある時、あのお気に入りの猫の具合いが悪いと連絡があり
急いで様子を見に行きましたが、病院へ連れて行く時間が取れず
残念な事に、翌朝亡くなったとおじさんに聞かされました。

猫とホームレス2-2

それからというもの、おじさんは滅多に小屋に訪れなくなりました。
幸いなことに隣にもう一人、猫好きのおじさんが移り住んで来ており
その残された子達の世話をしてくれることになりました。
実は、そのおじさんも以前、橋の下に住んでおり
棄てられた猫達の世話をしていたので、流れでケアをして
あげた経緯があった為、顔見知りでした。

ご自身も老猫2匹を飼っていたのですが、その子達は老齢で
民生委員?の方が引き取ってくれていました。
そのおじさんは、とても優しく律儀な人でしたが、
ちょっと頑固な所もあったので、中々ホームレス生活から
抜け出せない感じで、転々としていました。

ある日、世話をしていた一匹が具合いが悪いと連絡があり
前回の猫を助けられなかった後悔もあったので
急いで、近くの病院へ連れて行きました。
その時は、大事には至らなかったのですが
歳を取って、最終的には、病院で最期を迎えました
心臓に大きな腫瘍があったそうで、猫には珍しい症例
だったので、検体をしてから供養しました。

丁度、今日、栃木のホームレス襲撃事件の裁判が
ニュースになっていましたが、本当に心が痛みました。
実際に、そうしたイタズラをされたり、トラブルで
怪我をした経験のあるホームレスさんもいたので
余計に気になる悲しい事件でした。
猫のボランティアをしていなければ、私もきっと
河川敷の猫達やホームレスのおじさん達と
知り合う事はなかったでしょう。

人は、偏見や己の価値観で他人を測りがちです。
だからと言って、社会的弱者の人達の
暮らしや命を奪って良いわけないです。
人も猫も、懸命に生きているのだから、
そっとしておいて欲しいと思います。

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