野良猫の一生 ❷【トキちゃん編】

こんにちは!猫大好きnoramieです!
今日は、今までに出逢った印象深い野良猫さんシリーズをお送りします。
第二回目は、トキちゃんという公園猫のお話です。
よろしくお願いします。

 

トキちゃんとの出逢い

かつて住んでいた地域のそこそこ広い公園には、数匹の野良猫さん達が居付いていました。
丁度、ボランティア活動を始めるにあたって、近所の野良猫の調査をしていた私。
この公園内の猫達の状況も把握しており、メンバーのトラ猫が風邪をひいている事に気がつきました。
餌やりさんは複数いた様でしたが、会った事はなくて投薬を頼めなかったので
朝の犬散歩のついでに、薬を混ぜた少量の餌を与えること数日。
突然、見慣れない新顔の黒白が現れたのです!だ、誰ですのん?
触れるほどには慣れていない、その猫は若く小振りだったので、女の子に見えました。
分かっている範囲内で避妊去勢手術はしていたものの、メスだとまた繁殖してしまうと焦りました。

野良猫の一生2【トキちゃん編】1

慌てて、近所のボラさんに相談すると…何と何と、その子の事をご存知でした。
ボラさんが以前勤めていた会社でTNRをし、可哀想だからと一晩家に泊めた際
ケージの扉が壊れていて脱走してしまい、その後、流れ流れて公園にたどり着いたとの話でした。
へっ?で、そのまま放置かーい!(;・∀・) しかも、オスでした。

すっかり公園に馴染んでいて、他の猫達とも仲良くやっていたので、そのまま見守ることになりました。
真相が判明したのは良かったけれど、投薬の続きをしていたので目立ってしまい
公園の前の事務所の社長らしき中年男性に「餌なんてやりやがって‼」と怒鳴られ大喧嘩よ。
当時は、まだまだ私も若く青かったし、投薬の説明をしても聞き入れてもくれなかったものでねー。

野良猫の一生2【トキちゃん編】2

で、これが風邪っぴきトラちゃんと、半分切れてますが黒白のトキちゃんです。
そうそうなんで、トキちゃんなのかと言うと、その喧嘩したオヤジの会社名が
トキ〇産業だったからなんですわ~(笑)
その後に、この会社の事務所にトキちゃんが閉じ込められる事件が勃発。
どうやら、社長の居ない時間に事務員たちが餌を与えていたらしく
連休前に、猫が室内にいることを確認せずに施錠してしまった様でした。

餌やりさんからの通報で発覚したのですが、鳴き声はすれど成すすべもなく
生存を案じていたら、隣の物置から真っ黒になりながらも自力で出てきましたっ‼
本当に良かった、本当にボロい事務所で良かったねぃ~。
そして、しばらくしてその事務所は倒産なのか立ち退きなのか知らんけど
無くなり、跡地には新しいコーポが建ちました。
その時のインパクトもあって、トキちゃんと名付けたのでした。

 

賢い猫トキちゃんと野良猫の現実

それからも、トキちゃんは公園の猫として暮らしていました。
自身も新入りの頃に先輩猫にお世話になったせいなのか、その後の新入り猫達にも優しく
沢山の餌やりさん(=ファンと言うかタニマチ)から好かれ、順調に丸々と太っていき、
まさしく相撲の横綱級にまでなっていました。一時、グーグルマップにも映っていたねー。
公園に遊びに来る子供達が、トキちゃんのハスキーな鳴き声を真似ている事もあったなぁ。

そして、公園のアイドルから主の様な存在になったトキちゃん。
特定の餌やりさんも居て、長年公園での生活が続いていました。
シニアになって口内炎に悩まされましたが、餌やりさんに投薬をお願いしたりして
何とかしのいでおりました。ただ一度、尻尾の先を怪我したのか数センチほど剥げてしまい
餌やりさんが知っていて連絡してこない事がありました。
たぶん医療費が掛かると思ったのでしょう。(#-`ω-)
驚いた事に、その時、トキちゃんは自己申告に来たのでした。
夜は、公園まで犬散歩に行かなかったのですが、少し離れた我が家の近くまで来て
「しっぽが、こないなってしもたん。あのおばちゃんじゃ、らちがあかんから。」
とでも言いたそうで、暗闇でも判ったので、翌日餌やりさんを叱り自分で投薬に行った事もありました。

そして数年後、その餌やりさんが事情があり引っ越すことになりました。
あんなに執着していた猫達の餌やりも、アッサリ無責任に放り投げて…。
仕方なく代わりに餌やりに通いました。猫達は周辺からも餌を求めて夜な夜な集まってきます。
一番危惧していたのは、マナーの悪い餌やりが多発しないかと言う点でした。
公園内に餌やり禁止看板が立っていたので…何度も役所に説明しましたが撤去はして貰えず。
案の定、大量の置き餌や食べ残しをそのまま放置する人たちが現れました。
注意しても中々正してくれないので、片付けに奔走し、直接クレーム言われた事も。
でも、流石にその頃には、私も活動してきた経験からクレーマーを論破出来ました。

野良猫の一生2【トキちゃん編】3

また、去勢していないオスや、耳カットありなのに何故か出産した若いメスも居たので
TNRもしつつ、とんだ尻ぬぐい作業は、ひと夏続きました。
豪雨の時など、どこに隠れているのかと思ったら、公衆トイレの中に身を潜めて居たり
保護予定だった仔猫が、ほんの数十分間、給仕が遅れたせいで事故死していたり…。
これが、外で生きるというリアルな厳しくて悲しい現実なんだと涙が出ました。

老猫の最後

その後、公園の砂場には、長年悩みの種だった犬猫の糞尿除けにフェンスが設けられました。
身勝手な餌やりも来なくなり、園内に猫達が集まらなくなっていきました。
一体何処へ行ったのだろう?と不思議思っていると、どうやら周辺の住宅街に二分化して移動していました。
一ヶ所は、普通の一軒家で、他の寄って来る猫達のTNRにも協力的、尚且つ具合いの悪い時なども
キチンと投薬してくれたりと安心できる方でした。

もう一方は、以前から猫の事でよく相談してくる知り合いの方で
路地裏のアパートに住んでおり、ちょっと変わり者ではありましたが、
それ故にその周辺の住民は、表面上文句言えない系の強烈なおばちゃんでした。(^_^;)
そちらに、トキちゃんも流れていました。
最初は、一匹汚い子が来てるのよ~なんて言われましたが、それまでの経緯をお話し
もうかなりの老猫で歯が悪くなっているので、柔らかいフードをあげてくれませんか。
とお願いすると直ぐに快諾してくれて、面倒を見てくれていました。

野良猫の一生2【トキちゃん編】4

トキちゃんの訃報を聞いたのは、その年の暮でした。
年末年始で、清掃業者がお休みだったので、いつもお世話になっていた
ペット霊堂を紹介し、手厚く供養をしていただけました。
本当に有難かったです。

昔は、野良猫の最後を看取る事は、滅多に無かったように思います。
心配かけまいと姿を消し、どこか見えない所でひっそりと…というイメージがありました。
けれど、長年、地域で人々に愛された猫は、現代では違うのかな。と感じました。
その後しばらく、あの公園から足が遠のいてしまいました。
薄暗い公園の照明に照らし出された、トキちゃんのシルエットが、幻が見えそうで…。

長い様で短い、短い様で長い。
たかが一匹の野良猫の生涯。
でも、私の心の中には、今でも深く深く刻まれているのです。

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