こんばんは!猫大好きnoramieです!
今日は、忘れられない黒猫メラのお話をしようと思います。
怒りと共に、よみがえる記憶
先日、見慣れない番号から電話がかかって来ました。
「以前に猫の事でお世話になった者なんですが…。」
引っ越ししてきて数年経っても、未だに時々こうした連絡がある。
依頼者の名前を聞いても、大体が思い出せないので
場所や案件の内容を教えてもらうことにしている。
その時の相談の内容は、庭で餌をあげている猫が居て
慣れてきたから家の中に入れたいけれど、動物病院へ
連れて行って、ケアをしてもらえないかと言う話でした。
私は現在、引っ越してボランティア活動をしていない旨を
伝えると、そうですかーと、では、ご自身で連れて行くと
言い、何に入れて行けば良いかと尋ねられた。
段ボールか何かで良いかと言うので、いやいやいや
キャリーバッグに入れないとダメですよ。とアドバイス。
聞けば、猫達は耳カットされている様子で
相談者は、かなりの高齢者の上、猫を飼うことを
家族に承諾してもらっているとは思えない雰囲気でした。
その後、本当に保護されたかどうかは判りませんが
たぶん、しないだろうと思った。
そして、10年以上も前の案件を思い出し
よくもまあ連絡してこられたものだ。と呆れてしまった。
余命宣告と安楽死
2009年の初夏の事です。
近所から、怪我をしている猫が居るので
捕獲して治療したいと言う相談がありました。
そう遠くはなかったので、捕獲機を持って伺うと
まだ明るい日中だったので、その猫は居らず
夕方の餌の時間に、自分で捕獲してもらえるよう
やり方を教えて、病院の予約をしておいた。
中々連絡が来ないので、やはり高齢者だから
捕獲は難しいか、病院の診療時間も迫っていたので
再度現場へ向かいました。その途中で、無事に捕まったと
電話が来たので、暗闇の中、すぐにカバーを被せてやり
ギリギリセーフで病院へ滑り込みました。
「先生、ギリですみません。何か怪我しちゃったみたいで…。」
と言うと、先生は驚いた顔をして
「えっ?猫がですか、人がですか?」
何を言ってるんだ、この先生は?と、明るい診察室へ入ると、
自分の服が血で汚れているのに初めて気が付いた。
※かなりショッキングな画像なのでモザイクをかけてます。
改めて、猫を見ると片目が異常に腫れて出血し、
眼球が飛び出してしまっている。酷い状態でした。
そのまま入院し、投薬で腫れがひくのを
数日待ってからの眼球摘出手術となりました。
その際に、そうなった原因を調べるために
手術の際に組織検査をすることになり、依頼者に伝えました。
摘出手術は無事に成功し、回復も早かった。
ところが残念な事に、組織検査の結果
悪性黒色腫瘍(メラノーマ)があることが判明してしまった。
私も初めて聞く病名だったので、詳細を聞くと…。
悪性の癌の一種で再発率が高く余命は短いと宣告されました。
海外では、即刻安楽死を選択する場合も珍しくはないのだとか。
その事実を依頼者に説明すると、すぐに安楽死を選択した。
怒り<哀しみ
まだ入院中なので、とりあえず面会に行って欲しいとお願いした。
後日、手術費用を支払いに病院へ来たそうだが、
結局、猫に会ってはくれなかった。
家に入れたいとまで言っていたのにだ。
避妊手術は済んでいたので、麻酔中に、念の為
耳カットもお願いしておいた。
最初から、家に入れるつもりなんてないだろうからと
たかをくくってはいたのだが、ここまで冷たいとは。
そりゃあ、大病だと知って看取りたくはないだろう。
私も、それまでに事故などで回復の見込みのない猫を
安楽死させたことがあったから、それ自体を否定するわけではない。
ただ、今の所、元気で、ご飯も食べている猫に対して
どうしても踏み切れない気持ちで居ました。
人にも慣れていない、治療も難しく再発の可能性が高い
そんな猫を引き取ろうと決心したのは、
依頼者への怒りと言うよりは、その人には慣れていたであろう
猫が面会に来てくれない哀しさに、しょんぼりしている様に
見えて不憫だったからでした。
メラと私の残された時間
抗ガン治療の説明は受けましたが難しいので、気休めだけど、
キノコ系の癌に効くサプリを購入して飲ませることにしました。
慣れていないので、三段ケージに入居してもらう。
初めは近づくだけで、シャーと威嚇して怖いくらいでした。
でも、怒る元気があれば大丈夫よね。と淡々とお世話。
今まで、猫の癌の経験はありましたが、
その殆どが、高齢になった猫で、副鼻腔内に腫瘍が出来て
顔が変形してしまうというものでした。
顔に出来る癌は悪性であることが多い。と聞いてはいましたが
メラノーマという名前は初めて聞きました。
なので、不吉だけどメラちゃんと命名しました。
そんな感じで、特に変化も無いまま1ヶ月が経とうと
する頃に、元々食いしん坊なのか、賢いのか
徐々に警戒心が薄らぎ、何と触れるようになりました。
そうなってからは、私も可愛くて仕方なくなりました。
心のどこかで、厄介な猫を押し付けられちゃったなぁ~
とか、自分の決断が間違っていなかったかと思う事もあり
そんなことを考える自分も嫌でした。
だから余計に、甘えてくるメラが愛しくて
このまま、ずっと元気でいて欲しいと願っていました。
けれど、運命は残酷です。
やっと仲良くなれたのに、2ヶ月を過ぎた頃
また手術した目の周りに少し腫れが見られ
癌が再発してしまったのです。
慣れてくれたので、最後は抱っこして
強制給仕やオムツもすることが出来ました。
覚悟はしていたとは言え、やはり別れは辛かったです。
数ヶ月後、たまたま依頼者の家の近くを通り
猫が亡くなった事をお知らせしたのですが
何だかどこ吹く風って感じで、はぁ~みたいな顔をしてました。
でも、不思議と怒りや憎しみは込み上げて来ませんでした。
メラと過ごした時間は、たったの3ヶ月足らずでしたが
その濃厚な時間や、彼女の可愛さを伝えたかっただけなので。
まぁ興味が無さそうだったので、さっさと退散しましたが。
これで最初の私の呆れた気持ちを解っていただけただろうか?
あの時、なんで怒らず清々しい気分でいられたのか。
長生きでも短命でも、どちらが幸福なのか不幸なのか
そんなことは、大した問題じゃないんだな。と
はじめて気が付いたからでした。
大事なのは、限られた時間を、どう生きるかなのだと
彼女に教わった。本当に愛しい黒猫でした。
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